心には暖かな思い出を
手には冷めたコーヒーを持ちながら静寂に耳を傾ける
両親は会社に出かけた
猫は寝ている
僕はまだシャワーも浴びていない
それよりも先に熱いコーヒーを入れた
アルバイトをクビになった事を憂鬱に思いながら赤と白の小箱からタバコを取り出す
いつもよりずっと遅く、何倍も時間をかけて口へ運ぶ
そうする事により、いつものタバコはより一層タバコとして僕の唇で存在する事を僕は知っている
ズボンのポケットからライターを取り出す
神保町のビリヤード場、お気に入りのビリヤード場でもらったライターだ
風も無いのに手で火を守りながら火をつける
肺を満たした煙は口から出るとすぐに虚しく消えて逝く
はぁ。。。
アルバイトであった良い事や悪い事を思い出す
今では全てが良い思い出だ
アルバイトをする前の事を思い出す
今でも全てが良い思い出だ
嫌な事もたくさんあったのに
不思議な事に悪い思い出とは思えない
思い出したくない事なんて何一つない
やっぱり全てが良い思い出だ
心には暖かな思い出を
手には冷めたコーヒーを持ちながら静寂に耳を傾ける
静かだ
僕を取り巻く空間も
僕が取り巻く空間も
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